(仮称)未塗装樹脂復元剤のテスト中なんです
実は最近面白い商品と出会って、テストしています。
それは未塗装樹脂の復元ケミカルです。
名前はまだないので「(仮称)未塗装樹脂復元剤」とします。
復元と言っても劣化した物が元通りになる訳ではありませんが、見た目はかなり黒く引き締まったものになります。
最近の流行的にはシリコーンを塗って黒々させる方法があり、僕もテストしました。
だけど塗った時はいいとしてもすぐに雨で流れますし、流れたシリコーンが油のようにギラついたりしました。
タイヤワックスを塗るという昔からある方法の方が、シリコーンを塗るよりも多少持ちが良いようには感じます。(タイヤワックスにもよる)
しかし目を見張るような耐久性はなく、あくまで相対的な評価(どんぐりの背比べレベル)でしかありません。
マメに手を掛けて黒さを維持する、出来れば劣化する前から手を掛け続ける、そうした根性論のような方法しかないのかなぁ、、、
そして雨が降ればすぐに色が褪せ元通りになってしまう。
樹脂は劣化との闘い、そう思っていました。
僕が今回テストしようと思った(仮称)未塗装樹脂復元剤も「劣化する前から手を掛け続ける」これが理想であることはゆるぎません。
しかし、白くなってしまった未塗装樹脂も黒く復元でき、しかも黒さが長く維持されるものとして行き着いたのが今回テストしている「(仮称)未塗装樹脂復元剤」です。
目次
- 1 施工の準備
- 2 (仮称)未塗装樹脂復元剤の塗り込み
- 3 KF-96の塗り込み
- 4 硬化待ち(乾燥)
- 5 検証
- 6 (仮称)未塗装樹脂復元剤の製造元に色々と聞いてきました
- 6.1 Q.脱脂剤は何が一番いいんですか?
- 6.2 Q.熱が掛かる樹脂に塗っても大丈夫ですか?
- 6.3 Q.ゴムには塗ってはいけないということですが、塗るとどうなってしまうんですか?
- 6.4 Q.耐久性はどうなんですか?時間経過等によってどのように劣化していくんですか?
- 6.5 Q.なるべく長持ちさせるにはどうしたらいいですか?
- 6.6 Q.新車の内から塗った方が良いですか?
- 6.7 Q.施工の難しい事例はありますか?
- 6.8 Q.施工直後に雨が降りそうになったらどうすればいいですか?
- 6.9 Q.今のところ常温保管でも内容物が固まったりはしていませんが、使用期限はありますか?
- 6.10 Q.厚塗りしたい場合はどのような手順が最適ですか?
- 6.11 その後の経過(気が向くままに経過を撮影)
- 7 失敗事例
施工の準備
ワイパーの取り外し
走行距離12万キロを超えているスズキパレット。
劣化具合から見て一度もワイパーブレードごと交換はされていないように思えます。
僕自身もこのときはじめての施工だったので、施工しやすいようにワイパーを外しました。
僕が乗っているスズキパレットはカバーを外してスパナでナットを緩めるだけで外せるタイプでした。いちいちガラス等にケミカル剤が付着する心配をするくらいなら外した方が楽だという判断です。
この手の作業に慣れている人は、外さずに施工したらいいと思います。(マスキングは必須)
仮に余計なところに付着しても硬化してしまう前であればIPA(イソプロピルアルコール)で拭き取れるとのことです。
ただし、硬化してしまうとコンパウンド等で削り取るしかないようなので注意が必要です。
ちなみにゴムには施工できません。
あくまで未塗装樹脂専用です。
脱脂
自分のクルマへのテストということもあり、脱脂はIPA(イソプロピルアルコール)でやっちゃいました。
部屋の中でやるときは換気を良くして行うように。
手の油を付着させないためにも本当はニトリルゴムなどの手袋をはめたいところですが、無かったのでマイティ3の付属品にしている軍手をはめました。
未塗装樹脂はたいていABS樹脂が使われているみたいですね。
その中でも劣化したときにキラキラと繊維状のものが光る場合は、グラスファイバーが練り込まれている強化ABS樹脂だと思われます。(間違えていたらゴメンナサイ)
樹脂にIPAを使うのが心配な方、樹脂への負担を最小限にしたい方は、中性洗剤で脱脂したらいいと思います。
その場合はよくすすいで良く乾かしてください。
マスキング
適当にマスキング。
今回はあくまでテストなので、塗り分けが出来て、比較が出来れば良し。
左側が(仮称)未塗装樹脂復元剤、真ん中が未施工、右がKF96(信越シリコーン)を塗ります。
上記写真はマスキングしただけでまだ塗っていない状態です。
(仮称)未塗装樹脂復元剤の塗り込み
まずは(仮称)未塗装樹脂復元剤から塗りました。
いつも使っているピンクの角スポンジで施工。
とろみがあるので垂れにくく扱いやすいです。
使用した量は一滴です。
どうせあとで余分は拭き取ってしまうし、樹脂が結構吸いますので、適当に厚めに塗っておきました。
水分と反応すると硬化が促進されるとのことなので、乾いてしまう前に水で濡らしたあと固く絞ったファイバークロスで余分なケミカル剤を拭き取りました。
水分が多すぎると白濁するとのことなので注意。
またファイバークロスに付いたケミカル剤が硬化してくるので、使用する面を変えながら拭き取っていきます。
チカラ加減も非常に軽くで十分です。
10分程度経過したら、固く絞ったファイバークロスのキレイな面でサッとひと吹きして仕上げ拭きとしました。
拭き取りに使用したファイバークロスは(仮称)未塗装樹脂復元剤が固まってボディには二度と使用不可能な感じになりますので、破棄するか、オイル交換などのウェス等にしちゃってください。
だから安いファイバークロスで十分です。
KF-96の塗り込み
別の箇所に流行りの信越シリコーンKF96を塗ります。
買ってからちょっと時間経っているけど、ちゃんとフタして冷暗所に置いてあったから大丈夫だと思う。
塗った直後はツヤッツヤになりますね。
余分なシリコーンは乾いたファイバークロスで拭き取っておきました。
KF-96はオイルなので硬化するということはないと思いますが、時間が経てば落ち着いた黒になるはずです。
硬化待ち(乾燥)
(仮称)未塗装樹脂復元剤は夏場であれば8時間、冬場であれば24時間で硬化するとのことでした。
夏場だからということもあるのかもしれませんが、1時間もたたずして触っても大丈夫なくらいにはなっている感じでした。
クルマに取り付けてしまおうと思いましたが、雨が降ってきたので屋内で乾燥させることにしました。
検証
1日経過
室内で1日乾燥させた後、天気が晴れたのでワイパーを元通りに取り付けました。
室内で1日置いてから、取り付けた直後の状態。
まず一つ言えることは、KF96(信越シリコーン)はあくまでオイルなので硬化していない様子。
マスキングで区切ったにもかかわらず境目が分からなくなっていたのがその証拠です。
そして不用意に触れると微妙に手に付きます。
(仮称)未塗装樹脂復元剤は境目がクッキリしていて、黒々しています。
既に硬化しており、触っても手に脂分が付着するというようなことはありません。
劣化したんだなという模様のような跡までは隠し切れていませんが、ここまでクッキリと黒くなってくれているので上等でしょう。
あとはどこまで持つのか、メンテナンスを全くせずしばらく放置してみようと思います。
7日経過
すでに2度ほど雨に降られました。
信越シリコーンKF-96は案の定、見る影もありません。
言われればまだ若干残っているのかなという程度です。
KF-96は手軽ではありますが、その手軽さに合わせて耐久性がほとんどありません。
所詮はオイルなのでそれは仕方ないです。
ちなみに青空駐車であり、一日中陽が当たる場所に駐車してあります。
またメンテナンスはおろか指一本触れていません。
もう少し色々検証して具合が良ければ、(仮称)未塗装樹脂復元剤を商品化しようと思います。
名前やラベルデザインも考えないと。。。
10日経過
夜だとどう見えるのかな?と思ったので写真撮ってきました。
昼間よりくっきりとした違いが見えますね。
KF96を塗った場所が少しだけ黒っぽさが残っているようには見えます。
薄暗い中、フラッシュを焚かないで撮った写真でも違いが分かりますね。
11日経過
雨が降った時にどう見えるのか、写真に撮ってきました。
雨が降ったくらいで流れるようなものではないので、黒々した見た目が維持されています。
また撥水してくれていますね。
とはいえ、メンテナンスをしなければいずれ撥水もしなくなり、黒々とした見た目も悪化するとは思いますが、せっかくなので当初の予定通りノーメンテナンスで行きます。
一か月経過
施工してから一か月経ちました。
一切手を触れていないので汚れてはいますが、施工したところだけ黒々してますね。
写真を撮ったときの光の具合もあり若干白っぽくは見えてしまっていますが、肉眼では白っぽくなった感じはありません。
水洗いで汚れを取って霧吹きで噴いてみました。
撥水がちょっと弱くなっていますね。
11日経過した時の撥水具合と比べると明らかです。
メンテナンス用のケミカル剤もちゃんとありますので、洗車の都度軽く塗っておいた方が良さそうです。
ちなみにこのメンテナンス用ケミカル剤、手あか汚れ程度なら落ちてしまうので内装の簡易清掃にも使えます。(手あかで汚れたノートパソコンのキーボードを拭いてみましたところ、手あかはちゃんと落ちて仕上がりがサラッとした感じになりました。)
そういえば施工後がどんな質感になっているか触ったことがなかったので確認してみました。
施工していないところは結構ザラっとしているのに対して、施工したところはツルっとした感じでした。
ツルっとするということは汚れが引っかかりにくくなりますので、洗車時に汚れを落としやすいということになります。
僕的には商品として出しても恥ずかしくない結果だと思いました。
(仮称)未塗装樹脂復元剤の製造元に色々と聞いてきました
Q.脱脂剤は何が一番いいんですか?
脱脂に使える身近な溶剤には、IPA(イソプロピルアルコール・工業用アルコール・メタノール)、エタノール、シリコンオフ・・・と色々あります。
その中でもシリコンオフは一番強い溶剤なので、未塗装樹脂に使う場合は手に入りやすいIPAやエタノールがいいんじゃないかとアドバイスを頂きました。
Q.熱が掛かる樹脂に塗っても大丈夫ですか?
エンジンルーム内などの熱が掛かる樹脂にも塗って大丈夫とのことでした。
Q.ゴムには塗ってはいけないということですが、塗るとどうなってしまうんですか?
硬化した(仮称)未塗装樹脂復元剤が割れるということでした。
これは柔らかいゴム固いゴム問わず起こり得るということですので、ゴムには塗ってはいけないです。
Q.耐久性はどうなんですか?時間経過等によってどのように劣化していくんですか?
剥離したり白濁したりはしないとのことでした。(施工不良は除く)
実は(仮称)未塗装樹脂復元剤にはメンテナンス用のケミカル剤(犠牲被膜ができる)があるのでそれを洗車後に軽く塗っていけば年単位で長く持たせることが可能なんだそうです。
まったくメンテナンスに手を掛けない人であれば、1年に一回(仮称)未塗装樹脂復元剤の再施工を行っていけば良いとのことでした。
Q.なるべく長持ちさせるにはどうしたらいいですか?
メンテナンス用ケミカル剤があるので定期的に塗って下さいとのこと。
今回の検証で思ったのは青空駐車の場合、1か月に一回程度塗っておけばいいんじゃないかと思いました。
もっと頻度が多く出来る人はそれに越したことはありません。
洗車したらメンテナンス、やっぱりこれが王道です。
Q.新車の内から塗った方が良いですか?
劣化する前に保護するという観点では良いのですが、見た目にムラが起きやすいとのこと。(薄塗りで回避可能です)
Q.施工の難しい事例はありますか?
シボが粗いとムラになりやすく、シボが細かいとムラになりにくいです。
ムラを回避するには薄塗りすることです。
シボとは、未塗装樹脂の表面の凸凹のことです。
一番やり易いのは白く劣化した未塗装樹脂に施工することだそうです。
Q.施工直後に雨が降りそうになったらどうすればいいですか?
(仮称)未塗装樹脂復元剤が硬化していないにもかかわらず雨に打たれると白濁する恐れがあります。そういう場合はメンテナンス用ケミカル剤を塗って保護してください。
Q.今のところ常温保管でも内容物が固まったりはしていませんが、使用期限はありますか?
冷暗所であれば常温保管できるのが(仮称)未塗装樹脂復元剤の扱いやすさでもあります。
使用期限は1年とお考え下さい。
さらに冷蔵庫で保管すれば2~3年は使えるとのことです。
この手の商品にありがちな使い切りタイプは使い切れないと固まって破棄する羽目になるものもあるようですが、(仮称)未塗装樹脂復元剤はフタさえ閉めておけば無駄なく使えます。
ちなみに写真は室内保管(エアコンなし)で4か月程度経過したものですが、フタさえちゃんと閉めておけば全く不都合がないことを確認しております。
Q.厚塗りしたい場合はどのような手順が最適ですか?
もし厚塗りしたい場合は、一度の施工で厚く塗るのではなく完全硬化してから再施工していくのが良いとのこと。
ただし、厚塗りしたからといってより素晴らしい結果が生まれるのかというとそうではない、、、というのが僕の考えであり、製造元も同じように考えておりました。
それよりもちゃんとメンテナンスしましょうよ。
2019年9月末現在、商品化に向けて動いています。
出たらすぐ欲しいという方は電話ください。
商品化したら一番にお届けします。
その後の経過(気が向くままに経過を撮影)
1ヶ月と9日経過時点
1ヶ月と16日経過時点
台風19号が過ぎ去った次の日に撮影。
もう一度施工して厚みを持たせれば、白っぽさが無くなってもっと黒くなりそうな気がするのでウズウズしているところ。
1ヶ月と25日経過時点
2ヶ月経過
撥水が少し弱くなってきた感じです。
メンテナンス剤を使えば撥水は取り戻せます。
3か月経過
雨は上がったんですが、まだ若干曇っています。
撮影時の光の加減で見え方が違ったりするので写真で比較しずらいところがありますが、施工したところとしていないところの差は依然としてハッキリしていました。
少し陽が差した瞬間を狙って撮影。
先日、とある中古車屋さんからお問い合わせがありました。
未塗装樹脂を黒々させる他社の製品を使っているとのことで、、、
というお話しをされていました。
(仮称)未塗装樹脂復元剤がそういう風になったら嫌だなと僕も思ったのでティッシュで擦ってみましたが、ベタ付いたり色が移るということはなかったです。
でも今まで拭いてすらこなかったので、ティッシュには3か月の間に付着した砂汚れが少し付いたくらいでした。
4か月経過
4か月経ちましたが、特別大きな変化はないように見えます。
垂れて他の部品を汚してしまうようなこともなく、手触りはサラサラしていました。
5か月経過
周りが明るくてもフラッシュ焚いて撮った方が境目がくっきり写っていいですね。
拭いたりとかせず、そのままの状態を撮影しました。
フラッシュ焚かないで撮ったらこんな感じでした。
6か月経過
雨と陽が当たる上部については若干白っぽくなったような気がします。
何のお手入れもせずいつまでもキレイに保ち続けるというのは物理的に不可能です。
それでも一切何のお手入れしていないにもかかわらずこれだけ持ったことは御の字だなと思います。
6か月間、何のお手入れもしては来ませんでしたが、弱ってはきているものの未施工部分とは明らかに水の弾きが違うのが分かります。
失敗事例
完全硬化する前に雨に降られた場合
施工後、手で触ってもペタペタしない程度に乾いていることは確認していました。
施工してからしばらくたった状態。
メンテナンス剤で汚れを落とすのと同時に保護膜の補充を行ったところ、水滴状の白い染みが出来ていました。
水分と反応して硬化しているので、完全硬化する前にこのような大粒の水滴が乗ってしまうと白い染みになります。
もし雨に降られたりしたらなるべく早いタイミングで拭き取ってあげるのが良いと思います。
ちなみに施工から2ヶ月経過しています。